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笠井瑞丈×上村なおか
Mitsutake Kasai × Naoka Uemura


笠井叡×川村美紀子
対談
バッハ、モーツァルトの音楽には
動物たちは耳をそばだてない
ベートーヴェンの音楽には
ライオンも耳を傾ける
しかし ショパンのピアノ曲は
蝶たちも踊り始める
暗いポーランドの森の中
瑞丈はショパンに似ている
裕子はショパンの母に
なおかは姉に
そして
美紀子はジョルジュ・サンドを
想わせるではないか
笠井叡
人の内側にめくれた耳の形は
ショパンを聴くためにある
今現在起きている戦争はヨーロッパの時代が終わりゆくことへの抵抗のようにも見える。パンデミックを経て世界の力関係が変化していく中で人間は一体どのような力を持ち得るのだろうか。作曲家フレデリック・ショパンにはその父の影響もあり音楽家というより革命家の血が流れており、その音楽の中には古典派やロマン派とは全く違った革命的な力がある。そして本作品の作者である笠井叡の言によれば、ショパンは「音楽そのものがダンスしている」のである。ここでは、古典とされる音楽が持つ革命的な力が、笠井瑞丈、上村なおか、浅見裕子、川村美紀子という4人の稀有なダンサーの身体と結びつき、ショパンその人の人生の如く燃焼し尽くすことで、ショパンの音楽の持つダンス性をまさに今「ダンスそのもの」として開示したい。古典、近代、現在を貫いてそれが今この時代の革命となり時代の閉塞を突破することで、人間が持っている力の可能性を信じる希望としたい。
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